シャタークワの思い出II
シャタークワに初めて到着し、まずは寮に行きます。留学1年目で、ルームメイトと部屋をシェアし、寮生活に慣れてきていたので、スムーズに始めることができました。夏休みの1カ月、寮で過ごすことになり、食事は寮の近くにある食堂で食べることになります。
その時ルームメイトとなったのが、中国からやってきた女の子、スーちゃんでした。
スーちゃんは、当時、Oberin Conservatoryという名門音楽院の1年目を終えたところでした。もちろん全額奨学金を得て通っていました。年齢も一緒ということもあり、スーちゃんと過ごした約1ヶ月ちょっとの時間は今でも一生の思い出です。
一人っ子だというスーちゃん、中国名門の北京中央音楽学校に中学時代から毎日通っていたとのことでした。でも出身地は北京ではなく、ずっと離れた違う都市で、小学校まではその都市にある音楽学校に通っていたのだそうです。
この時点で普通の公立高校に通っていた私は衝撃を受けました。
故郷の音楽学校で才能と努力を認められたスーちゃんは、中学生になると北京へ引っ越しました。子供一人で住めるわけではないので、お母さんも一緒についてきたのだとか。お父さんは故郷でスーちゃんの勉強をサポートするため残って働いていたそうです。
人がたくさんいて、常に努力し続けないと生き残れない中国で、自分のために尽くしてくれた両親に、音楽で成功して恩返ししなければいけない。そう言って常により良い音楽を目指し練習し続けるスーちゃんの姿は衝撃的でした。
そう言っていたスーちゃんを目の当たりにし、如何に自分が恵まれた環境にいるのか、音楽に対して生半可な気持ちだったのか認識させられました。
スーちゃんとは今もSNSを通じて連絡を取り合っています。今では彼女は博士号を修了し、Dr. Sueです。ピアニストとしてアメリカ、中国で活躍しています。
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